妊婦のための支援給付(札幌市)をご存知ですか?(中絶・流産も対象)

妊娠がわかった時、気持ちの問題とは別に経済的な事情が気になるというのはごく当たり前のことです。ましてや望まない妊娠であった場合は、急な負担が心労の大きな部分を占めるといったこともあるでしょう。

札幌市では妊娠を継続するか否かに関わらず受けられる「妊婦のための支援給付」制度があります。

中絶にかかる費用について

中絶は基本的に全額自己負担の「自費診療」となります。そのため、医療機関や手術方法によって費用が異なります。

初期中絶(妊娠12週未満)

一般的な費用の目安: 約9万〜15万円

当院では妊娠週数により手術または経口中絶薬を選ぶことができ、費用は約13万~15万円となります。

中期中絶(妊娠12〜22週未満)

一般的な費用の目安: 約40万〜60万円

入院が必要になり、費用負担だけではなく身体的・精神的負担も大きくなります。Norikoウィメンズヘルスクリニックでは中期中絶は行っておりません。(中期中絶が可能な提携病院をご紹介いたします)

札幌市の「妊婦支援給付金」について

札幌市では、妊娠期の経済的負担軽減を目的とした 「妊婦支援給付金」 が 2025年4月から開始されました。
条件を満たす場合は出産・中絶・流産など経過に関わらず給付を受けられます。

対象となる方

  • 申請時点で札幌市に住民票があり、札幌市の 妊婦給付認定 を受けた方

※当院で妊娠届出書をお渡しします。必要事項をご記入の上お近くの保健センターで妊娠届出を行い、市の認定を受ける必要があります。

給付額

給付は2段階で行われます。

① 妊娠時給付:5万円(妊婦1人あたり)
妊娠届出後、市から申請書が郵送されます。

② 胎児1人あたり給付:5万円
出産に限らず、中絶・流産・死産の場合も対象となります。

合計 最大10万円程度の支援を受けられる可能性があります。

注意点

  • 給付には必ず申請手続きが必要です。
  • 他市で同様の支援を受けていた場合、札幌では対象外となることがあります。
  • 申請期限があります。お早めにご確認ください。

制度の詳細は札幌市公式サイト、または区役所の母子保健担当窓口でご確認いただけます。

初回受診時に申請希望のお申し出が必要です

札幌市の妊婦のための支援給付制度では、初回受診時の状況(妊娠判定・週数・相談内容など)を基に必要書類を作成し、市へ申請する仕組みとなっています。

給付金制度の利用は申請意思があることが前提となります。申請を希望される方は初めての受診の際のお申し出ください。

後日の対応はできない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

Norikoウィメンズヘルスクリニックでは、患者さまに不利益が生じないよう対応いたします。他院を受診される場合でも適用となる支援制度がないか医師やスタッフへお尋ねいただければと思います。

江別市、北広島市にも同様の妊婦支援給付金制度があります

札幌市だけではなく、近隣都市にも同様の制度があります。中絶のために当院にお越しになる江別市、北広島市にお住いの方も市のホームページでご確認ください。

経済的な問題の軽減は不安感の軽減に直結します

望まない妊娠で中絶について考えることは心理的な負担が非常に大きいものです。気持ちに整理がつかない、不安で眠れない、涙が止まらない…と訴える方も多くいらっしゃいます。

費用負担が軽減できることで少しでも不安感やゆううつな気持ちが解消できればと思います。

Norikoウィメンズヘルスクリニックでは、医学的な安全を第一に、患者さんの経済的・家庭的事情に配慮した治療法や対処法を提案することを心掛けています。
妊娠継続か中絶か迷っている段階でも構いません。まずは一度ご相談ください。

執筆者

Norikoウィメンズヘルスクリニック
院長 寺田 倫子

2007年札幌医科大学卒業。札幌医科大学病院、砂川市立病院、NTT東日本札幌病院、市立釧路総合病院、東豊病院などでの勤務を経て、Norikoウィメンズヘルスクリニックを開院。産婦人科専門医、母体保護指定医、臨床遺伝専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、腹腔鏡技術認定医、子宮鏡技術認定医、医学博士。