不妊症(sterility)とは

一定の期間(約1〜2年間)を経ても妊娠しない場合を不妊症といいます。
妊娠は成立するが、流産や死産により、胎児の体外生活が可能な時期まで妊娠を維持できない場合を不育症(infertility)といい、広義の不妊症に含まれます。

一定の期間とは、避妊期間を除いて1〜2年以上とするのが一般的で、これは、児を有している夫婦の90%以上は2年以内に妊娠しているという事実によります。 およそ10組の夫婦のうち1〜2組が不妊症といわれています。そのうち、女性に原因がある場合は1/3ほどあり、卵巣の働きが弱かったり、卵管の通過性が悪かったり、子宮に問題がある場合などがあります。また、精子の数が少なかったり運動性が弱かったり、男性に原因がある場合も1/3ほどあります。残りの1/3は夫婦の両方に原因がある場合や、いろいろ検査しても原因がわからない場合です。

不妊症の原因を調べるには、次のような検査が必要です。
●ホルモンが適度に分泌されているかどうか
●卵管の通過性がよいかどうか
●子宮に異常がないかどうか
●排卵があるかどうか
●精液が正常かどうか

子宮卵管造影写真

痛みを伴う検査と思われてますが、卵管の通過性に問題のない方はほとんど痛みはありません。

自然の妊娠率はどのくらい?

避妊をしていないカップルでは、結婚後6か月を経過すると約60%、1年で約80%、2年で約90%が妊娠するといわれています。この数値を累積妊娠率といいます。これらの数値をもとに、1回の性周期(月経周期)あたりの妊娠率を、100組のカップルについて計算してみましょう。結婚後6ヶ月目には、60組のカップルが妊娠していることになります。妊娠のチャンス(排卵日)は100(組)×6(か月)=600回程度ありますが、毎月10組ずつのカップルが妊娠するものと仮定すると、そのチャンスは約450回となるので、妊娠率は60÷450=0.13(約13%)となります。結婚後1年目には 80÷740=0.11(約11%)となり、自然の妊娠率が決して高くないことが理解できます。